018わらと炭とそら豆

  018わらと炭とそら豆

現代語訳:𝑅𝑒𝓁𝒶𝓍 𝒮𝓉𝑜𝓇𝒾𝑒𝓈𝒯𝒱



はじめに

グリム童話の「わらと炭とそら豆」は、ユーモラスで教訓的な物語です。ある貧しいおばあさんがそら豆を煮ようとしていたとき、そら豆の一粒が鍋から飛び出し、わらと炭も一緒に逃げ出します。三人は一緒に旅に出ることを決意し、川にたどり着きます。わらが橋になり、炭が渡ろうとしますが、途中で怖くなり立ち止まってしまいます。結果として、わらが燃え出し、炭と共に川に落ちてしまいます。そら豆はその様子を見て笑い転げ、破裂してしまいますが、通りかかった仕立て屋が黒い糸で縫い合わせて助けてくれました。


人生の教訓

他人の不幸を笑ってはいけない:

そら豆はわらと炭の不幸を見て笑いましたが、その結果、自分も破裂してしまいました。他人の不幸を笑うことは、自分にも悪影響を及ぼすことがあります。

協力の重要性:

わら、炭、そら豆は協力して旅を続けようとしましたが、最終的には失敗しました。協力することの重要性と、それがうまくいかない場合のリスクを教えています。

運命の皮肉:

物語は、運命の皮肉さを示しています。そら豆は助けられましたが、黒い縫い目が残りました。運命は予測できないものであり、時には皮肉な結果をもたらすことがあります。

親切の価値:

仕立て屋がそら豆を助けたように、親切な行動は他人に大きな影響を与えることがあります。親切は巡り巡って自分にも返ってくることがあります。




村に貧しい年とったおばあさんが住んでいました。

おばあさんはそら豆を一皿取ってきて、煮ようとして、かまどに火をおこし、

火が早く燃えるように一つかみのわらをくべました。

そら豆を鍋に空けていたとき、一粒が、おばあさんにみえないで落ち、

わらのそばの土に転がりました。

それからまもなくかまどの火から燃えている炭が跳ねてその二人のところに落ちました。


すると、わらが「やあ、君たち、どこからここに来たの?」と言いました。

炭が、「僕は運よく火から跳び出たよ。力いっぱい逃げなかったら、

きっと死んでいたな。燃えて灰になってしまうところだった」

そら豆が、「私もすんでのところで逃げたのよ。だけどおばあさんが鍋に入れてしまったら、

仲間みたいに情け容赦なくスープにされてしまうところだったわ」と言いました。


「僕も同じ目にあうところだったよ」とわらが言いました。

「おばあさんは僕の兄弟たちをみんな殺して火と煙にしちゃった。

一度に60人をつかまえて命を奪ったんだ。僕はさいわいにおばあさんの指をすりぬけたけどね」

「だけど僕たちどうしようか?」と炭がいいました。「思うに」と豆が答えました。

「私たちは運よく死ななくて済んだんだから、お友達になって一緒にいましょう。

ここだとまた悪いことが起こるといけないから、一緒に出て行って、よその国でやり直さない?」


その提案は他の二人の気に入り、三人は一緒にでかけました。

しかし、まもなく三人は小さな川にやってきて、橋も渡り板もなかったので、

どうしたら向こうに渡れるかわかりませんでした。

わらが良い考えを思いつき、「僕がまっすぐ向こうに寝転がろう、

そうしたら橋みたいに僕の上を歩いて渡れるよ」と言いました。

それでわらはこちらの岸から向こう岸へ体を伸ばし、

炭は、せっかちな性格だったので、新しく建てられた橋の上で思いっきりつまづきました。

それでも真ん中に着いて、足元で水がゴーゴー流れているのが聞こえたとき、

結局、怖くなり、立ち止まって前へ進もうとしませんでした。

ところが、わらが燃え始め、二つに割れて、川におちたので、

炭はそのあとを滑り落ち、水に入った時シューと音を立てて最後の息をひきとりました。


そら豆は、用心してまだ岸に残っていましたが、その様子を見て笑わずにはいられませんでした。

そして笑い止めることができなくて、ひどく笑ったので破裂してしまいました。

豆もまたお終いになっていたはずでしたが、

運よく仕事を捜して旅をしていた仕立て屋が川のそばで座って休んでいて、

思いやりの心があったので、針と糸をとりだし、豆を縫い合わせました。

豆はとても可愛らしく仕立て屋にお礼を言いました。

しかし、仕立て屋が黒糸を使ったので、その時から豆にはみんな黒い縫い目があるのです。




わらと炭とそら豆の物語はこれにて幕を閉じます。また別の物語の世界でお会いしましょう。ぜひ、チャンネル登録やフォロー、コメントなどで応援してくれると嬉しいです。これからも良い作品を届けられるように頑張ります。


𝑅𝑒𝓁𝒶𝓍 𝒮𝓉𝑜𝓇𝒾𝑒𝓈𝒯𝒱

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